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チベット問題への各国の対応 米国議会の対応 2007年10月17日、米国議会はダライ・ラマに黄金勲章を授与し、ブッシュ大統領も授賞式に同席した。これに対し中国政府は米中関係に悪影響を及ぼすと主張した。 2008年3月21日には、米国議会下院議長のナンシー・ペロシが他の下院議員9名を伴ってインドのダラムサラを訪問し、ダライ・ラマ14世と会談した。ペロシ下院議長は、同月に発生したチベット自治区での暴動と中国政府の治安当局による催涙弾や銃火器による暴徒制圧への国際調査団への派遣、ならびに中華人民共和国政府との平和的対話の再開に関して、ダライ・ラマ14世への支持を表明した。 米上下両院は2008年4月9日の本会議で、チベットのデモを鎮圧した中国政府に対し、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との対話などを要求する超党派の決議案をそれぞれ可決した。上院決議は全会一致、下院決議は賛成413、反対1の圧倒的多数で支持された。下院決議は、チベットにおける平和的な抗議活動への「弾圧」をやめ、独立した国際監視員らのチベットへの自由な立ち入りを認めるよう中国に要求。3月に発表された国務省の人権報告で中国を「最も組織的な人権侵害国」から外した米政府に対し、除外決定の見直しを公式に表明するよう求めた。 欧州の対応 欧州連合(EU)の欧州議会は2008年4月10日、加盟27カ国に対し今夏の北京五輪の開会式に出席しないことを求める決議を採択した。チベット自治区での暴動、武力弾圧や人権侵害に絡み、事態打開に向けて中国政府がチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との対話に踏み切らない場合との条件を付けている。
欧州主要国では、ドイツのメルケル首相が欠席を既に表明。ブラウン英首相も9日、欠席を表明した。フランスのサルコジ大統領は欠席を検討すると述べている。各首脳ともチベット情勢との関連付けは避けているが、国内で中国のチベット政策への批判が高まっているのを意識した選択となっている。
さらに、チェコのクラウス大統領が開会式欠席を表明。ポーランドのトゥスク首相も出席しないと言明している。 フランスのサルコジ大統領は2008年4月8日、北京五輪開会式への出席問題に関し、「中国政府とダライ・ラマ14世が対話すればフランスが出席する条件について決定する」と述べた。 4月4日発行の仏フリーマガジン「Sport」によると、北京五輪に出場予定の仏代表選手126人の半数近くが、ニコラ・サルコジ(Nicolas
Sarkozy)仏大統領の開会式ボイコットを支持していた。反対は31.5%だった。 また、49%が自身も開会式をボイコットする可能性があると答えた。北京五輪そのもののボイコットには、96%が反対した。86%の選手が、チベット(Tibet)への支持と人権問題への懸念を公式に表明することに前向きで、47%が五輪開催中に人権問題に関して公の場で意見を述べると回答した。 チェコのトポラーネク首相は2008年4月16日、チベット情勢を理由に8月の北京五輪の開会式を欠席するとの声明を発表した。同日付のチェコ紙プラボによると、首相はナチスが1936年のベルリン五輪を政治宣伝に悪用したことを引用し「共産主義体制の中国に祝意を表したくない」と述べた。 日本政府の対応 欧米の民主主義国家ではチベット問題について一定の意思を見せている。これに対し、日本政府の対応は冷ややかである。 日本政府は中国に配慮して、2008年4月10日に日本に立ち寄ったダライ・ラマ14世との接触を控えた。 政府はダライ・ラマが日本に入国する際は、中華人民共和国への配慮から、政治活動をしない等の条件をつけている。また政府は中華人民共和国の推進する"一つの中国"の立場を外交政策として掲げているため、ダライ・ラマ14世と公式に会談した日本の内閣総理大臣は大平正芳のみである 福田首相は2008年に起きたチベット騒乱についてについて「中国国内の問題なので・・・」とコメントした。 また、レポーターに「チベット争乱への中国政府の対応について、自民党の外交関係合同部会で北京五輪への早期対応や人権問題への明確な対応を求める意見が相次いでますが」と質問されて、「中国のまぁ言ってみれば内政問題ではありますが、人権に関わることがあるなら懸念を表明せざるを得ない」「オリンピック(開会式)に参加するとかしないとか言うべきではない。・・・参加しないといっている国はまだごく限られている・・・」と述べた。 |